梅菊が不思議な夢を見たあの晩より月日は流れ、片海(現在の小湊地域)のみならず、近隣各地ではその夢のお告げで持ちきりとなっていました。
「なんでも日天子さまの不思議なお告げを受けた女房がおるそうな、その者はお告げと共に懐妊したと聞く」「ほう、それは何とも奇異な話じゃ、そのやや子はいかなる賢者か、はては聖人のお出ましやもしれん・・・」人々は口々にそう噂し、日輪の御子の誕生を今か今かと待ちわびていました。そしていよいよ月は満ち、貞応元(一二二二)年二月十六日、更に人々を驚かす出来事が起こり始めるのです。