日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#078
お題目の功徳

神島根県浜田市 龍泉寺聖徒団団長
笹部一眞

みんな仏になる

心こそ 心まどわす
心なれ 心に心
心ゆるすな


詠み人知らず

手に持った丸いお盆の上にビー玉を置けば、コロコロとあっちに行ったり、こっちに行ったりとなかなか位置が定まらないものです。私たちの心も同じように、一日朝起きてから夜眠るまで、あっちに行ったりこっちに行ったりと、実に定まりません。

朝起きて、天気が好いと気分好調、車で出かけて渋滞に合えばイライラして八つ当たり。体重を気にしながらも、ついつい手が出る三時のおやつ。「怒るは地獄、むさぼるは餓鬼、おろかは畜生」とは日蓮大聖人のお諭しです。

私たちの心には十の段階があり、仏教では十界と言います。下から地獄界・餓鬼界・畜生界。これを三悪道と呼びます。その上の修羅界は人と争う心です。そして人界は平常時の私たちの心。天界は喜んで有頂天になっている状態でしょうか。私たち衆生は、主にこの六段階をコロコロと回っているようです。死後の世界の六道輪廻(ろくどうりんね)も、このことに由来します。

お題目の功徳

それから仏様の教えを学ぶ心を声聞界(しょうもんかい)、何かのきっかけで覚る心を縁覚界(えんがくかい)、周りの人を助けようとする心を菩薩界(ぼさつかい)と言います。

仏界ばかりは衆生の心になかなか現れませんが仏様の心を「仏性」と呼び、実は全ての人が十界の最上界として持っているのです。日蓮大聖人は、この「仏性」のことを南無妙法蓮華経とお題目で呼び顕わしたのです。

ですから素直にこのことを信じ、一心に南無妙法蓮華経とお題目を唱えれば、一人一人の心中にある仏性が呼び顕わされるのです。そうすると、日常の煩悩や自分中心の行いが慈悲に溢れた行動や言葉に変わり、仏様と同じ振る舞いが自然に出来るようになるのです。これがお題目の功徳であり、仏に成る、つまり成仏ということです。

日蓮大聖人は末法の衆生である私たちの為に、お釈迦様より南無妙法蓮華経のお題目を授かりました。そしてお題目を唱えるためのご本尊として、一切衆生の心中の仏性を顕わした十界互具の大曼荼羅ご本尊を示されたのです。

お題目の功徳

現在は世界中がコロナウィルス感染症の影響を受け、日々の活動も制限され、心的ストレスの多い日々が続きます。こんな時こそ毎月開催される盛運祈願会に参加し、聖徒団のお寺の本堂のご本尊の前に座り、心を静めて呼吸を整え、俱生神月守を胸に南無妙法蓮華経のお題目を大きな声で唱えましょう。そして自分の為だけでなく人の幸いを念じつつ、人々にもすすめて人生を一層明るく、楽しく、幸いなものにいたしましょう。

世の中には自分の過去にとらわれて生きている方もいます。その昔に誰かによって傷つけられたことを、時折思い出しては怒りや悲しみを新たにします。

最後に私たちへの日蓮大聖人のお言葉を紹介します。

籠の中の鳥なけば空飛ぶ鳥の呼ばれて集まるが如し、空飛ぶ鳥の集まれば籠の中の鳥も出んとするが如し、口に妙法を呼び奉れば我が身の仏性も呼ばれて必ず顕われ給う、梵王・帝釈の仏性は呼ばれて我等を守り給う、仏菩薩の仏性は呼ばれて悦び給う~中略~これらの趣をよくよく心得て仏に成る道には、我慢偏執の心なく南無妙法蓮華経と唱え奉るべき者也

法華初心成仏鈔
※この記事は、教誌よろこび令和3年11月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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