日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#073
無量義経の段その三十一

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)

1.大したことをしたわけではない。当然のことをしただけです
(杉原千畝(すぎはらちうね))

annaFrank

東京では『アンネの日記』が受難とのこと。じゃあ千畝さんの本もヤバいじゃんと懸念していましたら、案の定、千畝さんの伝記も被害に遭ってるとのこと。ホント不可解な事件ですな。

さて、アンネに千畝さんといえば、共通のキーワードは当然あのホロコースト。

ナチス第三帝国によるユダヤ人大虐殺のことですが、実はユダヤ人への迫害は、ナチスだけのことには非ず。ユダヤ人たちが国を失い流浪の民となって以来、延々と続けられてきた、いわば西洋社会の暗黒面なのです。

なにしろ彼らの最後の国家ユダ王国が滅亡したのが、紀元前五八六年!で、今のイスラエルが建国されたのが、第二次世界大戦後の一九四八年!なんと二千年以上の長きに亘り、迫害され続けてきたんですから、壮絶な話ですね。

2.賢者は聞き、愚者は語る
(ソロモン王)

いやしかし、二千年以上もイジメ続ける方も、ホントにしつこい話ですが、二千年以上も国家の再建を目指す方も壮大なお話。

毎年毎年の米作りに追われてきたが故に、数十年スパンでの展望が苦手な我ら農耕民族には、とてもとても真似の出来ない話ですな(それだけ彼らの信仰が強烈な訳ですね)。

そんな彼らが理想としたのが、紀元前一〇二一年、約束の地カナン(今のパレスチナ)に建国されたというイスラエル王国。

建国の主は、ミケランジェロの彫刻でお馴染みのダビデ王(デビット・リンチやデビット・ボウイのデビットの語源だそうな)、イスラム教からも偉大な預言者と評される、国家統一の英雄です。

そのダビデ王の後を継ぎ、王国を大いに栄えさせたのが、賢王ソロモン。この古代ユダヤ最高の賢者と讃えられるソロモン王こそが、名前の力を以て様々な魔法を現じたという、伝説の魔術師なのです。

3.ソロモンよ 私は帰ってきた! 
(アナベル・ガトー少佐)

ダンブルドア

賢者と言えばソロモン、ソロモンと言えば賢者。

賢王ソロモンこそは、唯一神から智慧を授かったとも、ユダヤ教の秘儀カバラの奥義を託されたとも伝えられる、いわば西洋における賢者の代表選手。あの大岡越前の「子供を取りあう裁判」での名裁きも、実は賢王ソロモンの裁きが元ネタだということは、かなり有名な話ですね(同じケンオウでも、悪人たちの元締めだったくせして、自分の人生に悔いはなしなどと自己完結するこまったちゃんな某ケンオウとはえらい違いですな)。

そんな賢王なればこそ、ソロモンは七十二体のデーモン(悪魔)を自在に召喚し、意のままに操ったといいます。これぞ世に名高きソロモン七十二柱。

いやいやいや、悪魔を召喚するなんて、どんな悪事をやるんかい!とツッコミたいところですが、実はデーモン(悪魔)という存在は、いわゆる怪人・獣人・奇械人・改造魔人等々と言った、ヒーローと戦うクリーチャーみたいに、悪事に特化してるわけではありません。

それどころか逆に、人間に取って、とても役に立ったりする力の持ち主だったりするんです・・・。

※この記事は、教誌よろこび平成26年4月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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