日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#074
無量義経の段その三十二

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)

1.僚機を失った者は戦術的に負けている
(エーリヒ・ハルトマン少佐)

annaFrank

風雲急を告げるウクライナ情勢。この六月号が出るころには、果して如何なる展開になっていることやら。まぁ兎にも角にも、何とか双方納得の道が開けていればと祈るばかりですね。

で、ウクライナと言えば思い出しますのは(やや不謹慎かもしれませんが)、「ウクライナの黒い悪魔」ことナチス・ドイツ空軍のエース・パイロット(撃墜王)エーリヒ・ハルトマン少佐ですね。

当時のソ連南部(つまりウクライナ)を主戦場に、必殺の一撃離脱戦法によって、ソ連の戦闘機を撃墜すること、その数なんと三五二機!

同時期のアメリカ軍のトップ、リチャード・ボング少佐が四〇機。ソ連の英雄イヴァーン・コジェドゥーブ少佐で六十二機。大日本帝国海軍の「零戦虎鐡」岩本徹三中尉すら二百二機?ですから、(それぞれ状況は違うから単純に比較はできないにしても)ハルトマンの撃墜数が如何にズバ抜けているかは一目瞭然なわけですね。

そんな恐ろしすぎる男の愛機には、一時期黒いチューリップが描かれていたとのこと。そのためにソ連軍は彼を「ウクライナの黒い悪魔」と呼び、恐れたと言います。

2.ねずみ男は信用できん!
(子泣き爺)

かように悪魔と言えば、それは人に危害を与える恐るべき存在。それが今の人が抱くイメージでしょう。

annaFrank

しかるに、賢者ソロモン王が使役したと伝えられる七十二柱を見まするに、盗人を捕らえ盗品を取り戻してくれるアンドロマリウス伯爵、温泉の涌く場所を示してくれるケロケル公爵、哲学を教え病人を癒す総裁ブエル(サンデー版鬼太郎最後の敵でしたね)、好きな異性との縁を成就してくれる君主シトリー、地位を与え敵味方双方から援助をもたらしてくれる魔王ベリアル(子泣き爺との名勝負が有名ですな)等々という次第で、まさに御利益のオンパレード。

いわゆる「御利益別神仏辞典」の類で紹介される、日本の神仏と同様と言っても過言ではないでしょう。そうなんです。実は西洋で恐れられていたデーモン(悪魔)こそが、本来西洋各地にて信じられていた神様だったんです・・・。

3.おまえは自分の子供に「人間」と名付けるのか? 
(デーモン小暮閣下)

白面の相撲解説者として、あるいはトリプル・ファイターや、デビルマンの敵として世間にも知られるデーモン(悪魔)。

その語源は古代希臘(ギリシア)文明のダイモーン(この名前もセーラームーンSの敵で知られるようになりましたね)からと言います。

ダイモーンとは、人と神との間に位置する目に見えぬさまざまな霊的存在のこと。常に人々の周りにいて、善きことや悪きことをもたらすといいます。

殊にエウダイモーンは人間一人一人を専属で見守り常に守護してくれる存在!とされ、日々の善きこと嬉しいことは、ダイモーンのたまものだと古代希臘人は感謝したといいます。

まさにこれって同生天・同名天のことそのもの。

そう、古代希臘の叡智も又、倶生神の存在に感づいていたんですね(その恩恵をより確かに頂く方法は、日蓮佛教の登場をまつわけですが)。

されど唯一神のみを信じるユダヤ、そしてキリスト教の人々から見れば、希臘の宗教なぞ邪教そのもの。ダイモーンは悪いことをもたらす霊的存在デーモンとされ、さらには唯一神以外の宗教の神々を一括りにする総称となって、今に伝わっているわけです・・・。

※この記事は、教誌よろこび平成26年6月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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