日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#058
現世安穏 後生善処

日蓮宗全国霊断師会連合会常任理事
大阪府霊断師会 会長
龍妙寺聖徒団 団長
芦田勝康

どんなことでも、お寺に相談してください。

毎月の盛運祈願会において皆さまとお題目をお唱えし、お話しをさせて頂くときには、そのようにお伝えしています。

爾の時に無数千万億の衆生、仏所に来至して法を聴く。(略)是の法を聞きおわって現世安穏にして後に善処に生じ、道を以て楽を受け、亦法を聞くことを得。

法華経薬草喩品第五

妙法を信受する人は、仏の法力によって今生きている現実の世では安らかで穏やかになり、後の未来世でも善き処に生まれて幸いを得ることができ、また法を聞くことができると法華経に説かれています。そのような寿量本佛の平等の慈悲と偉大な救済活動は、まずはお寺でお話しして頂くことから多くの方にそそがれるという考えから、些細なことでも気軽に相談してくださいとお声かけをさせて頂いているのです。

先日も、信徒の女性からとある相談を受けました。

庭に植わっている三メートルを越えるゴールドクレストの木が、道路にはみ出してきたうえに、倒木のおそれも出てきたために伐採してよいものか悩んでいるというのです。

ゴールドクレストの木

この女性は、元は関西に住んでおられましたが千葉県市原市に移住、当山とご縁があり、現在も年に数度は飛行機に乗って参拝されている熱心な信仰をお持ちの方で、ご家族で倶生神月守を着帯し、何かがあったときには、日ごろから九識霊断法を受けておられます。樹木の伐採についても、一度お寺に話してみようと考えられてのことでした。とはいえ、ゴールドクレストは根が浅く倒木しやすいとも言われています。ほとんど伐採するしかないものと思ってのご相談だったに違いありません。

ところが、九識霊断法でお伺いをしたところ、この木を伐採するのは望ましくない、娘さんによくない影響があるとの結果がお示しされたではありませんか。ご本佛さまのご教示をそのままにお伝えしたものの、本来ならば早く伐採してしまいたい状況にあることですから、女性の方でもどうしたものかと途方に暮れながら過ごしておられました。

ゴールドクレストの木

そのような折に、大型の台風十五号が関東地方を直撃しました。

女性の住む千葉県の周辺の住宅では、倉庫やカーポートの屋根が飛び、倒木や停電が相次いだそうです。そのような甚大な被害が広がる中において、伐採は望ましくないとお伝えしたあのゴールドクレストの木は、倒れるどころかむしろ風除けとなり、家を守ってくれたというのです。おかげでご自宅には全くといっていいほど被害がなく、難を逃れることができました。もし、あの時、お寺に相談することなく伐採をしていれば、風雨や飛来物がそのまま家屋に直撃し、大きな被害を受けていたところだったでしょう。

法華経を信じる人は、一乗の仏道をもって苦を離れ、楽を受け、さらに深く妙法を信受することができます。大雲雨そそぐがごとき、ご本佛さまの大慈大悲によって草木がそれぞれの種性にかなって生長することを得、華開き実がなるように、聞法下種を因として現安後善の報果を受くることができるのです。

天晴れぬれば、地明らかなり。法華を識るものは世法を得べきか。一念三千を知らざる者には、仏大慈悲を起こして、妙法五字の袋のうちにこの珠をつつみ、末代幼稚の頸にかけさしむ。

観心本尊抄

倶生神月守を着帯し、唱題受持の妙行をすること、そして、九識霊断法のご教示を頂くことが、ご本佛さまの大慈大悲を素直に授かり受ける末代幼稚にも出来うる成佛の直道です。ご本佛さまに守って頂いたという経験を以て、ますます力強く信仰を継続でき、そして、救われた親の姿を子どもにも見せることで、子々孫々に信心を継承することができるのではないでしょうか。

※この記事は、教誌よろこび令和2年3月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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