大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸轉輪王。(無量義経徳行品第一)
お釈迦様がご入滅(お亡くなりになること)されて二千年過ぎれば、世は末法となってしまう・・・。
それはお経に説かれた恐るべき予言!時の流れと共にそれは来る!必ずやって来る!
避けることもできず、この地上にいる限り、どこにも逃げ場はありません。
ことに末法が刻一刻と迫っていた平安時代。人々のおののき、恐れようと言ったら、あの一九七〇年代、ノストラダムスの大予言にビビっていた小中学生のおののきの何千何万倍であったことでしょう。
なにしろ当時はお念仏を唱えながら、夕陽と共に海や湖に沈んでいくことが一大ブームだったわけですから、その絶望感はもはや異常!のレベルだったのです。
ここまで忌み嫌われ、恐れられてきた末法時代。末法になればナニがドウなると言うのでしょうか?
末法になれば、まず人と人の繋がりが壊れてきます。主人と部下、親と子、兄と弟等々と、家族や身内、仲間や同じ組織内で相争うことが増えていくのです。
知っている者同士が争うぐらいですから、当然、赤の他人同士の争いも彼方此方で発生します。
争いある処、災いも尽きません。恐ろしい疫病が流行し、天候が不順となり、暴風や強雨等が頻発します。そしてやがては天体の運行も異常になっていきます。
遂には内乱が起き、さらに他国が侵略を開始します。災難が充満してくると、やがて太陽が二つ三つ等々と幾つも出現!?します。
草木は枯れ果て、川も大河も干上がります。大地はあたかも炭のごとく、海もまた油のごとく燃えあがり、巨大な炎は全てを包みこんでいきます・・・・。
内乱侵略までは解ります。でも太陽が幾つも出て来るというのは、如何なる現象でしょうか?
○○勉さん(ガハハおじさんじゃないよ)なら、原水爆だ!核戦争だ!と断言しちゃうかもしれません。
ともかくも末法になれば、まず人の心が乱れ、災害が充満し、ますます人の心が荒廃することで大きな争いが続き、やがて何か恐るべきことが起きて、天も地も海も炎に包まれてしまうわけです。
ここでポイントとなるのが、「人の心」です。
「衆生の心けがるれば土もけがれ、心清ければ土も清し」(一生成仏抄)
と、大聖人もご教示される通り、この世の在り方は、すべて私たちの心の反映なのです。心が乱れることが、此の世の衰亡に繋がるわけです。
では、その心が乱れる原因は何か?
それは正しい教えを知らない、無知にあります。末法とは正しい教えが廃れる時代。正しい教えを知らぬ故に人の心は乱れ、世の中全てが乱れるわけです。
だからこそ、大聖人は当時続発した災害への対策として、「立正安国論」を発表されたんですね。
終末が来るよと預言したイエスが、やがて天使を率いて自ら世界を滅ぼしにやって来られると説くのがキリスト教です。
対して、末法が来るよと予言した上で、その末法での救いを説くのが佛教なのです。
正しい教えが廃れた時代にこそ、届けるべき真実の教え。それが法華経、お題目です。
その法華経、お題目を末法に説かれる方こそが、ご本佛お釈迦様直属のお弟子である、上行菩薩なのです。
しかしお釈迦様の時代と、上行菩薩が活動すべき時代には、二千年以上の開きがあります。当然その間には、お二方を繋ぐ仲立ちが必要です。
その仲立ちを務められたお方、その御名を薬王菩薩。そう、あの天台大師、そして伝教大師の前世となる菩薩様というわけです・・・。
イラスト 小川けんいち
元霊断院主任
福岡県妙立寺前住職