日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#040
無量義経の段その九
(一)

王より皇

大轉輪王小轉輪王。金輪銀輪諸輪之王。國王王子國臣國民。國士國女國大長者。各與眷屬百千萬數而自圍遶。來詣佛所頭面禮足遶百千匝。燒香散華種種供養。已退一面坐。

無量義経 徳行品第一

佛教伝説の転輪聖王(てんりんじょうおう)、それはあのマケドニアの英雄アレキサンダーが、モンゴルの勇者チンギス・カーンが、コルシカ島の怪物ナポレオンが、そしてナチス・ドイツの悪の天才ヒトラーが夢み果たしえなかった悲願、俗世間における人類最大の野望、世界征服を実現しうる唯一の男なのです…。

第一回目の放送早々、その内容以前に「王家!王家!王家!」の連発が話題となった、今年の大河ドラマ「平清盛」。

その用語の歴史的な正確さの是非はともかくも、皇室を王家呼ばわりすることに、多くの人が納得できなかったことでしょう。

もとより王はどんなに偉くても、天皇は無論、皇帝や帝王にすらランク負けするというのが普通の感覚。(実際は単純に比較できるものではないでしょうが)禿頭王シャルル二世や失地王ジョン、太陽王ルイ十四世等々よりも、イワン雷帝、ピョートル大帝、ナポレオン皇帝、ミキサー大帝等々の方が、なんだか格上!と思ってしまうもの。

ならば世界征服を実現する男、転輪聖王こそ真に皇帝や帝王と呼ぶべきでは…、との疑問もでてくることでしょう。

確かにその支配権の規模から言えば、王よりも帝か皇と名付けるべきでしょう。

しかしその統治のあり方、世の治め方から言えば、逆に王と呼ぶほうがふさわしいとも言えるのです。それは単なる君主のランクとしての王ではなく、王道を歩む者の意味としてです…。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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