日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#028
無量義経の段その五
(二)

どうの三妖怪

最強の妖怪は誰だ

「一時佛住。王舎城(おうしゃじょう)。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)中」

王舎城(またの名を王赦城)の中心部より東北の方に変わった形をした小高い山があります。山頂(峰)がまるでハゲワシの頭部のような形をしたその山こそがギッジャ・クータこと耆闍崛山です。

ギッジャとはハゲワシのこと。故に単に鷲峰山や鷲頭山という呼び方もありますが、これでは単に変わった形の山というだけのこと。

やはり霊鷲山という名前こそ、この神秘なるお山にふさわしい名前でしょう。

その名のごとく、ここには沢山のハゲワシや諸々の霊や魔が集まる山、ゆえに名付けて霊鷲山というわけです。

前回の斑足王(はんそくおう)の羅刹(らせつ)たちもこの山の霊の一種。さらに霊鷲山の魔物についてはこんなお話もあります…。

彼は獅駝洞をアジトにし青獅子の妖怪・一大王、白象の妖怪・二大王とトリオを組む故に三大王と名乗る訳ですが、仲間が青獅子と白象と言うと、ピンと来られる方もおられるかもしれません。

青獅子といえば智恵の文殊菩薩の乗り物、白象は慈悲の普賢菩薩の乗り物。そう、この物語では、佛教を代表する二大聖獣が各々の主人の元を脱走し、地上で悪さをしていることになっているわけです。

こんな大物たちとトリオを組みながらも作中、最も大活躍しているのが彼、三大王なのです。智恵を巡らして悟空の作戦を見破り、さしの勝負でも悟空を圧倒します。

これにはとうとう悟空も打つ手がなくなってしまいます…。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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