日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
法華経のお話 法華経のお話

#027
無量義経の段その五
(一)

最強の妖怪は誰だ

最強の妖怪は誰だ

「一時佛住。王舎城(おうしゃじょう)。耆闍崛山(ぎしゃくっせん)中」

王舎城(またの名を王赦城)の中心部より東北の方に変わった形をした小高い山があります。山頂(峰)がまるでハゲワシの頭部のような形をしたその山こそがギッジャ・クータこと耆闍崛山です。

ギッジャとはハゲワシのこと。故に単に鷲峰山や鷲頭山という呼び方もありますが、これでは単に変わった形の山というだけのこと。

やはり霊鷲山という名前こそ、この神秘なるお山にふさわしい名前でしょう。

その名のごとく、ここには沢山のハゲワシや諸々の霊や魔が集まる山、ゆえに名付けて霊鷲山というわけです。

前回の斑足王(はんそくおう)の羅刹(らせつ)たちもこの山の霊の一種。さらに霊鷲山の魔物についてはこんなお話もあります…。

中国四大奇書中、最大のメジャー作品といえば西遊記。お年寄からお子さんまで最も幅広く親しまれてきた作品でしょう。

唐の時代の実在の高僧(決して尼僧にあらず)玄奘三蔵法師を主人公に、彼を守る四人の妖怪、猿の斉天大聖(せいてんたいせい)孫悟空・豚の天蓬元帥(てんぽうげんすい)猪八戒・河童(ホントはよく分らない水の妖怪)の捲簾大将(けんれんたいしょう)沙悟浄・いつもは馬に化けている龍の玉(ぎょく)龍(りゅう)の活躍を描く一大長編です。

彼ら四人と、三蔵を食べようとつけ狙う妖怪たちとの丁丁発止の攻防戦が物語の主軸となるわけで、実に様々な妖怪たちが登場します。

その中でも有名なものは、不思議なヒョウタンを駆使する金角・銀角兄弟と、元祖バッファローマンこと牛魔大王の三人でしょう。絵本等のダイジェスト版でも必ずチョイスされるメンバーです。

そんなメジャー組の影に隠れたマイナーな存在でありながら、実は西遊記全妖怪中最強だと断定できる妖怪を、皆さんはご存知でしょうか?

その妖怪こそ西遊記第七十四回から七十七回に登場する鳥の妖怪・三大王なのです。

塩入幹丈

元霊断院主任

福岡県妙立寺前住職

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