三部経と言えば一般的には「無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」の浄土三部経のことでしょう。法華経の場合は、ご祈祷でお馴染みの「一部八巻二十八品…」から一部経というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし実は法華経にも三部経という括り方が古来より伝えられています。すなわち妙法蓮華経八巻を中心にして、その前篇たる「無量義経」一巻と後編にあたる「観普賢菩薩行法経」一巻、あわせて三部経十巻です。
この三部十巻こそが法華経の全貌であり、震旦(中国)の天台大師(大聖人がお釈迦様の次に尊敬された大学者)も平安時代の伝教大師(大聖人が三番目に尊敬された高僧)も、この十巻全体を法華経と捉えて研究修業されてきました。
大聖人も身延山ご草庵での毎朝のご修行は一日に一巻、十日で一巡という形式だったと伝えられています。
元霊断院主任
福岡県妙立寺前住職