法華経のお話

第44話 無量義経の段 その十(二)日本の神々、天竺へいく

「日本国の守護神たる天照太神・八幡大菩薩・天神七代・地神五代の神神、総じて大小神祇等体の神つらなる、其余の用の神豈もるべきや」(日女御前御返事) 同時代ゆえ、そして八駿の存在ゆえ穆王は法華経の場に参加できた…。

と言うと「震旦だけ王が参加とは、自虐史観の一環ですね。わかります」と誤解されるかもしれませんが、残念ながら皇室の成立は、西暦では紀元前六六〇年なので、この時代にはまだ存在していません。

ただし日本に皇室はまだなくても神々はおられます。

実は皇室とは、高天原(皇室の故郷)の国常立尊(くにのとこのたちみこと)(星祭りでお馴染みの妙見様)から夫婦の始まり伊弉諾(いざなぎ)・伊邪那美命(いざなみのみこと)まで、七代の神(天神七代)伊弉諾命(いざなぎのみこと)の長女たる天照太神から、鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)(父は海彦山彦神話の山彦、母は堤婆品の八歳龍女の姉妹・豊玉姫命(とよたまひめのみこと))までの五代の日本の神(地神五代)の流れをくむ存在。

地神五代の世は百七九万二千四百七十年以上(!)という膨大なものですが、その五代目鵜草葺不合命と(やはり八歳龍女の姉妹たる)玉依姫命(たまよりひめのみこと)との間の御子こそが、初代天皇たる神武天皇となるのです。

ですから紀元前六六〇年・穆王五十三年と言えば、わが日本では鵜草葺不合命八十三万五千七百五十三年。

まさに人智を超えた神の世。ですから当然、日本から霊鷲山に参ったのは神々となるわけです。

故に大曼陀羅御本尊には、天神七代地神五代を代表する天照太神がお祀りされているわけです。

因みに最近女系天皇の話題が取りざたされていますが、この天照太神が地神の始まりと言うこと、つまり女神が始祖であり、そこから男神四代、そして男系の天皇家が百二十五代続いているという神話信仰にこそ意味があるのです。

故に過去の女性天皇は皆、独身か天皇の未亡人。もし、女性天皇がご結婚されてお子様をお産みになり、そのお子様が天皇となられた場合(つまり女系です)、そこで天照太神以来百七十九万二千年以上の伝統がリセットされるわけです。

かくして震旦からは転輪聖王として穆王が、日本からは皇室の祖たる神々が法華経の場に参上されたわけですが、はからずもこの震旦の王の登場が、後の皇室の在り方に極めて重要な意味をもっていくのです…。

塩入幹丈

元霊断院主任
福岡県妙立寺前住職


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