法華経のお話

第43話 無量義経の段 その十(一)穆王、天竺へ行く

世界を統一する転輪聖王(てんりんじょうおう)は、求めざるとも自ずと豪華なる宝をゲットすると言います。

(男から見て)完璧なる理想の正室さん(すいません!昔なんで一夫多妻です)はじめ、素晴しい珠、輪、象、馬、主兵、長者の七つ、七宝です。

東亜細亜を治める者として転輪聖王の一角を占める周第五代王穆王は、その地位の証ゆえでしょうか、この七宝の内、優れた馬の宝たる馬宝を所有していたと言います。

それが絶地(ぜっち)・翻羽(ほんう)・奔霄(ほんしょう)・越影(えつえい)・踰輝(ゆき)・超光(ちょうこう)・謄霧(とうむ)・挟翼(きょうよく)の八頭、いわゆる穆王八駿(はっしゅん)です。

ギリシア神話の英雄ペルセウスは、天馬ペガサスに乗って空を飛び海獣カイトス(鯨座)を倒し、また日出処の天子聖徳太子は、愛馬甲斐の烏駒に乗って諸国を瞬く間に巡ったと言いますが、穆王八駿とはこのペガサスや甲斐の烏駒級の馬が八頭もいるようなもの(挟翼には翼もあったと言います)。

この八頭が牽く馬車に乗った穆王は、広大なる黄河の大地を高速で駈け廻り、さらにはあの神仙の集う幻の山崑崙(こんろん)(珠多しですね)にも至ったと伝えられます。

それほどまでに機動力を讃えられた穆王ゆえでしょう。やがて東亜細亜の地に佛教が伝えられるや、新たなる穆王伝説が囁かれることとなります。

あのお釈迦様の晩年王舎城(おうしゃじょう)は霊鷲山(りょうじゅせん)の法華経説法の場にさえも、穆王は東亜細亜を代表し馳せ参じたのだと…。

塩入幹丈

元霊断院主任
福岡県妙立寺前住職


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