日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#074
会社の危機を乗り越えて
~心を結んだ月守~

愛知県名古屋市 妙泉寺聖徒団団長
霊断院 研究局局長
石黒泰良

「お上人様、私の会社、もうだめかも知れません」

十年ほど前、九識霊断に訪れた運送会社会長S氏(六十九歳)の第一声でした。二年前、S氏は専務を努めていた息子(四十五歳)に社長を譲り、自分は会長に退いていました。その当時、この会社はトラック三十台を所有し、ドライバーも三十三名在籍、古くからの取引先が多く、三十台の内十六台は定期便、他のトラックもフル稼働していました。

息子が社長に就任して程なく、取締役会議を経ずに大手製菓会社とトラック十台分の提携を結んできました。息子は鼻高々に「親父の力を借りなくても俺の力で会社をもっと大きくしてみせる」と意気込んでいました。しかし、これが会社を危機に落とし込む誤算の始まりでした。

この半年後、予期せぬ出来事が起こります。提携を結んでいた製菓会社がロジスティクス会社を立ち上げました。当然、傘下としての契約を結び直すのですが、以前の契約よりも厳しい条件でした。撤退するにも、この会社と提携を結ぶ時に古くからの顧客との関係を切っていたので、退くに退けません。

会社の危機を乗り越えて

仕方なく製菓会社の契約内容を呑み、就業シフトを組みなおして業務を遂行することとなりますが、ドライバー達にかなりの負担を強いる事となりました。

そんな矢先、ドライバーの一人が自転車との接触事故を起こしました。幸い被害者は軽傷で済みましたが、その時の社長の対応を不満に思ったドライバー三人が辞表を提出。社内が騒然とした状況となりました。事態を収拾させるため、ドライバーをなだめ、給料の上乗せも行いました。シフトを楽にするため、会長も社長もトラックに乗りました。

しかし、それも限界がありました。やがてドライバー達はあからさまに不満を言うようになり、社内は劣悪な雰囲気です。

困り果てた会長は、友人に相談しました。すると「この住職に九識霊断で観てもらってはどうかな。何らかの智慧をもらえると思うよ」とのアドバイス。それが九識霊断法との出会いでした。

九識霊断法との出会い

早速、九識霊断法の指導を仰ぎました。すると、住職の予期せぬ答えが返ってきました。

「社長の降格人事を行いましょう。会長のあなたがもう一度社長に就き、現社長を専務にして社長付とし、先ずは社内を落ち着かせましょう。」

さらに住職は、小さなお守を会長に手渡し、

「毎月、このお守を社員全員分お受けなさい。そして、月初めの朝礼の際にあなたから一人ずつ手渡し、いつもありがとう。今月も事故の無いよう無事を祈ってます。と声を掛けなさい。」

会長は「よし、やってみよう」と決意し、社内取締役会議にて社長の交代劇を演じました。

人事の整った次の朝、挨拶の後、社員全員に倶生神月守を手渡しました。

最初は社員も戸惑ったようですが、二カ月経ち、三カ月経つと、月日を経るごとに社内の雰囲気が明るくなり、社長と従業員の信頼が回復していきました。

心を繋ぐお守り
倶生神月守

倶生神月守は家の宗教に関係なく持つことの出来るお守りで、略して月守りともいいます。

倶生神とは同生天と同名天というお二人の神さまのことをあわせた呼び名です。

同生天は身体(健康)を守り、福を与えてくれる神さま。
同名天は生活(経済)を守り、徳を与えてくれる神さま。

会社の危機を乗り越えて

倶生神月守を持つことにより自身が守られるだけで無く、持つ人同士の絆を結び、緣を深めてくれるのです。

自分の周りの人に倶生神月守を勧め、良き縁を繋いでいきましょう。

※この記事は、教誌よろこび令和3年7月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

pagetop

TOP