日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#068
正信への気付き

妙親寺聖徒団 副団長
教学講師
廣田千城

先日、当山にお参りに来られた七十代後半の聖徒の女性が仰ったことです。

「お上人、明けない夜はないと言いますが、暮れない昼もないですよね。最近何だか色々と悪いことが続いている気がして、どんどん体調も悪くなっている気がするのです。そして最近ひどく孤独を感じるようになってきました。」

一般的に「人生ずっと悪いことばかりが続くわけではない」の意味を表す「明けない夜はない」ですが、確かに人生は山あれば谷あり。良いことばかりが続くわけでもなく、悪いことも起きることは多くの方が経験することと言えます。

ひどくお疲れの様子をみて私は言いました。

「確かに仰る通りですね。生きていれば、良い時もあれば悪い時もあります。元気な時もあれば病気の時もあります。また年を重ねるにつれて、若い時と比べると体力が落ちてままならないことも増えてくるでしょう。しかし、苦しみは永遠に続くものではないと思います。太陽は必ずまた昇りますから。しかし体調が悪いのは気になりますね。どうでしょう、九識霊断法で体調の状況を倶生神様にお尋ねしてみませんか?」

これまで何度か霊断指導を受けたことがあり、女性はすぐに承諾しました。霊断法で示されたことは次のような内容でした。

正信への気付き

「まず体調に何か問題があるとは言えない。次に、体力は十分あるが、心が疲弊しており一切の柔軟性が失われ、前向きになれないものがある。最後にご本仏様はさながら太陽が煌々と輝くように女性を守っているのに、女性はその輝きに背を向けている。」

体調に問題がないことに安堵しながらも、まだ大きな問題が残っています。それは女性が抱える「心の問題」や「孤独感」、つまり精神のあり方です。私たちが望むべき姿は、当然ながら心身ともに健康な姿であることは言うまでもありません。

日蓮大聖人は次のようなお手紙を残されています。

又人の身には左右のかた(肩)あり。このかたに二の神をはします、一をば同名、二をば同生と申す。此の二の神は梵天、帝釈、日月の人をまほらせんがために、母の腹の内に入しよりこのかた、一生をわるまで影のごとく眼のごとくつき随て候が、人の悪をつくり善をなしなんどし候をば、つゆちりばかりものこさず、天にうたへ(訴)まいらせ候なるぞ。

四條金吾殿女房御返事
正信への気付き

「私たちの着帯している『倶生神月守』ですが、この『倶生神』とは、お手紙の中で言われている『同名(天)様、同生(天)様』のことです。この二柱の神様は、私たちが生まれた時からずっと左右の肩にいて下さり専属で護って下さっています。だから人は一人じゃない。実際に霊示を見ても分かるようにあなたは護られているのです。あなたの心を照らしたいと思って下さっているのですよ。心の底から祈りを捧げましょう。でも一人で行うのが難しいなら、私と一緒にお題目を唱えればいいじゃないですか。必ず気持ちが変わってきますよ。」

九識霊断法の霊示も踏まえ、このようにお伝えしました。その時に女性が見せたハッとしたような表情は強く印象に残っています。きっと今までの信仰を振り返り、自分の姿の中に背きがあったことを気付いたのでしょう。

私たちは常に変化しています。良い時もあれば悪い時もある。しかし変わらないものが確かにあります。それは私たちが常にご本仏様、倶生神様の無限の愛情に包まれているということです。ただし愛情を確かに受け取るためには、とても大切な条件があります。それは「愛情を素直に信じる心の底からの祈り」なのです。

今年も信仰を大切に、倶生神月守を着帯して、しっかりお題目を唱えて参りましょう。

※この記事は、教誌よろこび令和3年1月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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