日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#063
いのちに感謝

日蓮宗霊断院 総務部長
岐阜県美濃市 常唱寺聖徒団副団長
阪口映徳

平成二十九年二月、A子さんが第三子を出産する病院について相談に来られました。A子さんは以前の出産でも相談に来られ、いずれも九識霊断法(霊断)の導きにより、苦難を乗り越え無事に出産できました。

良い病院は世の中に沢山ありますが、合う病院を探すことが大事なのです。私は出産に限らず、その時の最善を探るため、まず霊断をするようにしています。

いのちに感謝

今回の相談は今までと事情が違っていました。A子さんは前年の秋に地元の検診で糖尿病の指摘をされ、養生して再診するつもりでした。しかし翌年の二月、再診を待たずに妊娠がわかったのでした。

どこの病院で出産するのが良いか、いくつも霊断しましたが良い結果は示されませんでした。むしろ、他に余病が出ることや死産の心配がありました。一抹の希望をもってA子さんの自宅に一番近い産婦人科病院(B医院)で霊断をすることにしました。B医院は、何かあるとすぐ救急車で他の病院へ移されるそうで、あまり評判は良くなかったのですが、結果、かろうじて母子の安全は確保できそうでした。

「このままではお腹の赤ちゃんが危険な状態です。今回の出産にとってB医院は最善の病院です。安心して受診し、医師の指示に従ってください」と伝え、A子さんと一緒に手を合わせ、母子の健康祈願、安産祈願を行ない、胎児の分の倶生神月守も着帯するよう勧めました。

A子さんは、B医院の医師の指示のもと、総合病院を受診。やはり早急の投薬が必要になり、すぐに教育入院をしました。また、出産までB医院の産婦人科医と総合病院の糖尿病専門医が連携を取ってくださることになり、少し安心したようでした。

教育入院後にB医院でエコー検査をしてもらうと、今度は卵管のう腫が見つかりました。腫れがひどくなると手術が必要になります。医師から「これが使われないことを祈りますが、御守り代わりに持っていてください」と、紹介先が空白の紹介状を手渡されました。

数ヶ月が経ち、胎児の成長とともに卵管のう腫も大きくなりました。そして、痛みに耐えかね救急車でG大学病院へ搬送され、緊急手術となったのでした。御守り代わりの紹介状が大変役に立ったそうです。手術は無事に成功し、A子さんの旦那さんは上の子二人を連れて何度も本堂で祈りました。みんなの祈りが通じたのか、回復も早く無事に退院できました。

その後も何度もお寺に通い、夫婦や家族で唱題修行をしました。出産予定日を十月に控え、容態も安定しており順調かに見えました。しかし、一変したのです。七月中旬、異変を感じたA子さんはB医院を受診、切迫早産になっておりすぐに救急車で県立医療センターに搬送されたのでした。まだ妊娠二十八週目なのに、今にも産まれそうな状態にあり、二十四時間の点滴、トイレ以外は絶対安静となりました。しかし入院五日目、ちょうど二十九週に入った日、陣痛が始まり早産で産まれてしまいました。入院していた病院は新生児特定集中治療室(NICU)があり、医師と専門スタッフが二十四時間体制で対応してくれることになりました。

いのちに感謝

A子さんは先に退院しますが、赤ちゃんは保育器の中で暫く過ごすことになります。冷凍した母乳を毎日病院へ届ける日々が二ヶ月間続きました。そして九月中旬、順調に育った赤ちゃんは無事に退院できました。

常に人を護るといえども、必ず心固きに仮りて神の守りすなわち強し

道場神守護事

訳:同名・同生の二天は常に人を護っているが、その人の心が堅固であれば、同時に神の守護も強いのである。

今回の出産は御本仏のお示しの通り窓口をB医院にしたからこそ、医療の連携がうまく取れたのでしょう。そして、A子さんの「我が子を無事に産んであげたい」という堅固な祈りが強いご守護を得るきっかけになったのだと思います。また、A子さんのみならず、ご家族やまわりの人たちの至心の願いが奇跡を生んだことは言うまでもありません。

現在、A子さんは旦那さんと三人のお子さんとにぎやかにお参りに来てくれます。また、妊娠前の血糖値は落ち着き、医師の説明では糖尿病の投薬は必要なくなったとのことです。

世界は私たち一人一人の個人の集まりでできています。それを政治なんて分からない、世の中に対して影響力なんてないと思ってしまいがちですが、そうではありません。せめて今日一日を明るく過ごして元気を取り戻そう、という姿勢が誰でもできる仏としての行いであり、仏さまの願いです。電灯は明るい時につけるものではなく、暗い時につけるものです。倶生神様の御守護を強くするには、暗い時こそ明るくすることです。不安なときは必ずお題目を唱え、自分のいる場所から少しずつでも、明るくしてください。今、私たちの在り方が試されています。

※この記事は、教誌よろこび令和2年7月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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