日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#048
霊魂は実在する

栃木県佐野市 本山 妙顕寺聖徒団団長
齊藤日軌 貫首

近頃、葬儀、法要、先祖の供養を簡易に済ましてしまうことが多くなりがちです。何宗か分からない正式でもないお坊さんに戒名をつけてもらったり葬式もしないで火葬にしたりすることがあります。私のお寺でもあったのですが百歳になるおばあちゃんが亡くなり、霊魂なんか無いだろうと、お金を惜しみ葬儀をしないで家族のお別れ会のみで済まし、おばあちゃんを火葬しました。火葬されたおばあちゃんは喪主の娘さんの夢枕に毎晩苦しそうな顔で立つので、娘は毎晩一睡もできません。「お寺さん、なんとかしてください」涙ながらに訴えます。

霊魂は実在する

そこで九識霊断法をいたしました。すると霊断では、おばあちゃんは、「子どもたち、孫、ひ孫さんみんなで集まって、お寺さんを呼んで葬儀をしてほしかった。特に子孫達にきちんと自分に感謝しお題目で霊山浄土に送ってほしかった」

それが心残りで毎晩娘の所に姿を表していたのです。

私は娘さんに「きちんとお戒名を付け、日蓮宗の正式のお葬儀をしましょう」と申し上げました。娘さんは、「私は看護師をして、人の生き死にに立ち会うことも多いのに、魂が実際にあって死後あの世に行くのだと云う事を良く理解していませんでした。本当に申し訳のないことをしてしまいました」と申し、葬儀をきちんとすることを約束しました。

霊魂は実在する

直ちに親戚一同集めて厳かに葬儀をし、引導をお渡ししたところ、不思議なことにその夜からおばあちゃんは、枕元に現れなくなりました。

自分たち生きているものが幸せになりたければ、あの世のご先祖様にご供養し、成仏していただくことが大切です。仏様になった御先祖様こそ、私たちを守ってくださいます。霊魂は実在します。霊を大切にし戒名を頂き、きちんと葬儀をしょう。

葬儀は、故人がまっすぐに浄土・仏様の世界に帰る為めの大切な儀式です。まず葬儀によってまだ死んだことを自覚していない霊も自分が死んだことに気づくことが多いのです。葬式もしないで火葬にしたりするとまだ死んでないのに焼かれてしまうと驚く霊も多いようです。日蓮宗の葬儀は、お経の力、仏様のお慈悲にる神通の力、お題目の力によって死者を浄土に導くのです。その中心の儀式が引導です。死者にその死を悟らせ、霊魂が仏の命とともに永遠であることを教えます。

また釈尊、日蓮大聖人にお願いし霊を浄土に導いてもらいます。

南無妙法蓮華経は死出の山にてはつえはしらとなり給へ。釈迦仏・多宝仏・上行等の四菩薩は手を取り給べし。日蓮さきに立候はば、御迎にまいり候事もやあらんずらん。又さきに行せ給はば、日蓮必閻魔法王にも委く申べく候。此事少もそら事あるべからず。日蓮法華経の文の如くならば通塞の案内者なり。只一心に信心おはして霊山を期し給へ

弥源太殿御返事

とお示しのように日蓮大聖人は、ご自分の弟子や檀家さんが亡くなったら必ず浄土にいたるまで手を取り、道案内をすると申されています。また閻魔大王様にもよろしく伝え浄土へ詣る許可をもらってくれます。

以上のことが全て行われるには、日蓮宗の正式な僧侶により葬儀を行ってもらうことが大切であり、また普段からお寺に参り倶生神月守を着帯し、お題目を唱える信仰生活をしていくことがとても大切なことなのです。

※この記事は、教誌よろこび平成31年3月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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