日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#041
道を弘める

富山市利生寺聖徒団
末吉 正道

日蓮宗富山県青年会(若い僧侶の会)では夏休みを利用して、檀信徒や縁の有る子供達を対象に少年少女修養道場という、次世代への布教を目的とした研修イベントを四十三年前より開催しています。前半は読経練習をしたり、法話を聞いたり、唱題行を行います。後半はレクリエーションやバーベキューなど楽しい時間を過ごします。各都道府県でも寺子屋等の名前で近い内容の研修会が開催されていると思います。

日蓮宗寺院が少ない富山県でも、全盛期は百人以上の参加者がいました。しかし私が僧侶として富山へ帰って来た七年前は二十人程でした。昨今は少子化で、参加者が減少することは仕方がないと思います。しかし歴史が有り、次世代布教の実績があるこのイベントが廃れるのは寂しいと感じました。

このような大規模なイベントは個人のお寺のみで開催することは難しく、僧侶同士が協力するからこそ開催が可能です。同時に僧侶である私たちの信頼関係が試されます。そして時代を問わず次世代にお題目の信仰を繋げる絶好の機会です。

道を弘める

私は自分のお寺から参加者を増やしたいと、檀信徒台帳を調べたり、住職、母親に情報を求め、該当する子供がいる聖徒へ電話かけたり手紙を送りました。その結果六人の子供が参加してくれました。その子供たちは毎年参加してくれています。他には、県内寺院の法要へお手伝いに行った時、参列する檀信徒を前に宣伝をさせて頂きました。青年会僧侶の協力もあり、一昨年は私が富山に帰って来て以来、最高の三十七人の参加者が集まりました。

『信行聖典』の一七五頁に

「四誓願」(誓って南無妙法蓮華経の道を持ち奉らん・誓って南無妙法蓮華経の道を行い奉らん・誓って南無妙法蓮華経の道を守り奉らん・誓って南無妙法蓮華経の道を弘め奉らん)

とあります。これは聖徒の信行生活の規範です。次世代にお題目を伝えることこそ信行生活の四つ目の「道を弘め奉らん」の規範に該当します。

日蓮大聖人は『法華取要抄』に

此土の我等衆生は五百塵点劫より已来、教主釈尊の愛子なり

と、人間は遙か昔より、仏様の愛する子供であったと述べられています。人間は仏様の子供であり、その人間の子供にお題目を弘めないことは、お題目を信仰する大人として仏様に不義理な行いと同じではないかと思います。同じ『法華取要抄』では次のように続きます。

「不孝の失に依て今に覚知せずといえども、他方の衆生には似るべからず」

仏様の教えに背くことによって、自分が仏様の子であるということに気が付かずとも、その親子の関係は変わらないと述べています。しかし現実に仏様との繋がりを感じることは容易ではありません。

道を弘める

私たちは、法華経、お題目、そして倶生神月守九識霊断法に依って仏様と親子の繋がりを気づかせて頂きながら信行生活を送っています。大人の自分だけが仏様の子であることに気が付き信行に励むので無く、子供が信行生活をする大人に成長するような種を撒くことに励むことが「道を弘め奉らん」の実践になるのではないでしょうか。

私は修養道場に参加した子供達が大人になり、各々の菩提寺に於いて四誓願を規範とした聖徒に成長することを信じています。皆様も子供向けの研修の機会がありましたら倶生神月守の着帯と同様に、お子さん、お孫さんを積極的に参加させるようご家族に促して頂きたいです。そして四誓願の実践を目指しましょう。

イラスト 小川けんいち

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