日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#034
お仏壇のお仏飯をいただいていますか?

岐阜県郡上市妙法寺聖徒団団長
三木 一乗

お仏壇のお仏飯をいただいていますか?

聖徒のみなさん、お仏壇のお仏飯をいただいていますか。どのようにして召し上がっていますか。

日蓮宗の檀徒で夫婦と娘の一家。十年前に九識霊断法を請い、毎朝のお題目による熱誠の祈りを捧げ、八年前に婿を迎えました。五年前には男児を授かり、家族一同に倶生神月守を着帯する聖徒です。

当家には親から子へ、そして子から孫へと受け継がれてきた習慣があります。それは、毎朝お仏壇にお仏飯をお上げし、その日のうちにお下がりとして家族全員で頂戴するというもの。お陰さまで、平穏無事に大病を患うこと無く孫まで授かった。老夫婦も親夫婦から教わってきた、お仏飯に対する感謝の念があります。娘も日常茶飯、婿を迎えてからも続き、男児も当初は平気でした。しかし、幼稚園に通園するようになり、一ヶ月が経過した頃から男児はお仏飯を嫌うようになりました。更には「お線香臭い」と、炊いたご飯も食べなくなりました。

お仏飯は握り寿司のシャリ程度の量、軽く水洗いしてからラップして炊飯器に戻し、ふりかけ・卵かけにしても効果がありません。男児は食事の時、先ずはご飯の匂いを嗅ぎ、お仏飯の部分とその周りを取り除き食べるようになりました。そんな男児を不憫に思い始めた老夫婦と若夫婦。ある日の夕食をカレーライスにしたところ、男児は「うん!うんん?」と首を傾げながらも、お仏飯ご飯を完食しました。その後は、チャーハン・チキンライス・オムライスなどを調理しました。

稲は変じて苗となる。苗は変じて草となる。草変じて米となる。米変じて人となる。人変じて仏となる。

王日殿御返事
お仏壇のお仏飯をいただいていますか?

試行錯誤からの悦びの一方で、栄養のバランス・偏食など食育面での心配が新たな問題となりました。そこで老夫婦と若夫婦は話し合い、毎日お仏飯を頂戴することは至極最上であることは伝え継ごう。されど今後、当家は最良と思われる習慣に転換しようと。それは、毎日のお仏飯を冷凍保存し、定期的に頂戴するという選択をしました。今ではミキサーにかけて、ハンバーグ・ギョウザ・手作り煎餅・クッキー・アイスクリームなど、バリエーションが豊富になりました。

『わたしのお母さんは、食事の前に必ずこう言うの。「いただきますと言ってから食べなさい」って。いつものように教えてくれるの。お母さんがつくる料理には、お魚さんや牛さんの「いのち」がたくさん入っていることを。そして、毎日たくさんの「いのち」を食べることで、家族みんなが元気でいられることも。だからわたしは言うの。「いただきます」って。』《平成二十三年六月 日蓮宗リーフレット》

先の祖文とリーフレットの意を巡らすと、私たちはお米・野菜・魚・肉などの【いのち】を受け継ぎ、生活生存のエネルギーとしています。私たちは聖徒です。自分の生き方を高め、多くの人の何かしらの役に立つ生き方をしなければならないということなのです。

平成二十八年十一月の盛運祈願会、この話しを聞いた私は「more better」と一言。ある聖徒一家の奮闘記〔プチお仏飯レシピ〕をご紹介しました。

※この記事は、教誌よろこび平成29年10月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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