日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
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#023
お題目の神秘

広島県福山市 常國寺聖徒団 団長
濱田 壽教

「縁」とは本当に不思議なものです。時を経ることで、その縁は、偶然ではなく必然であったと思えてなりません。

私達は一生の中で、どれだけの人と縁を結ぶのでしょうか。家族、夫婦、親子、恩師、親戚や友人など、挙げればきりがありません。また、同時に私達は、多くの事柄と縁を結び生活しています。仕事であったり、地域や社会であったり、皆さんは菩提寺や聖徒団とも縁を結んでいます。これら様々な縁がある中、最も不思議で有り難いご縁を考える時、そこには「法華経」と、その眼目である「南無妙法蓮華経」のお題目との結縁があります。

お題目の神秘

当山の聖徒、小島サトコさんは今年八十二歳。お寺の年中行事には欠かさずお参りになり、毎月の浄行清掃奉仕にも積極的に参加されます。

平成十一年九月のことです。小島さんから、娘さんについての相談を受け、九識霊断法を行うと、「お守を着帯し、すぐに会いに行くように」と、示されていました。会いに行き、何度も話し合うことにより、問題は次第に解決していきました。その頃から、小島さんは、毎朝本堂の廊下掃除をし、朝勤にお参りされるようになりました。

数年経ったある日、小島さんは、本堂の縁側から落ち、頭を打って意識を失います。そこは真っ暗なトンネルのような場所で、自動車のスピードで、シューッとどこまでも進んでいくような感覚だったそうです。やがて、お題目の太鼓が聞こえ、トンネルの出口がとても明るくきれいだなぁと思った瞬間、痛みとともに意識が戻り、倒れていた事に気付いたそうです。「あの時は死んどったんじゃろうな。お題目に命を救われた。お題目は本当に有り難い。」と話されています。

今では家族全員が月守を着帯し、「笑い声が絶えない。家庭円満になりました。」と笑顔で話されます。

人は、苦しみの中で、様々な縁に導かれ、本当の信仰に辿り着くのかもしれません。

小島さんは、九識霊断法が縁となり、倶生神月守を着帯し、しっかりとお題目と結縁されました。そして、「何につけても有り難い、有り難い。」が口癖の信仰生活を送られています。

私達は、自身のお題目との「縁」を堅固なものにし、縁ある人に有り難い「お題目」を伝えねばなりません。その大きな手段が、「九識霊断法」と「?生神月守」を勧め、縁を結ぶ行いです。これに過ぎる功徳はありません。法華経『如来壽量品第十六』には、ご本仏様は、常に私達一人一人の行いをご覧になり、その人が本当の信仰者と成る為に、最善の道を歩ませると教えています。

小島さんの二十年にわたる信仰生活は、ご本仏様のお導きと云えるのはないでしょうか。

日蓮大聖人は、「いかにも今度信心をいだして法華経の行者にてとおり、日蓮が一門となり通し給べし。(中略)ともかくも法華経に名をたて身をまかせ給べし」『諸法実相鈔』とのご遺戒を残されました。

すなわち、法華経に照らし合わせて見た時、私達は前世よりの深い因縁に依って、お題目と結ばれており、その事に気付き、信仰生活を進めなければならないと云う事です。

今私達は、有り難くも倶生神月守を着帯し、お題目と「結縁」しています。お題目に総てをお任せし、心の底からお題目をお唱え致しましょう。そこにお題目の神秘が現れ、大きな果報を必ず頂戴する事が出来ます。

※この記事は、教誌よろこび平成28年9月号に掲載された記事です。

イラスト 小川けんいち

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