日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
よろこび法話 よろこび法話

#010
お寺を「かけ橋」に
~よろこびの人になろう~

日蓮宗霊断師会近畿教区長(常任理事)
大阪府霊断師会会長
大阪府八尾市龍妙寺聖徒団団長
芦田 勝康

一、お題目・倶生神月守によりて救われる

”よろこび”とはどのようなものでしょうか。

それぞれに多種多様なよろこびがありますが、お題目、法華経の信仰をもととしている聖徒の皆さんには、「いつもご本仏さまから守られている」という”よろこび”が心の深いところにあることでしょう。時には、それを忘れて、不安になってしまうこともあるかもしれませんが、折に触れて、変わらぬご守護を感じるはずです。

そのご恩を知り、ご恩に報いるには、ご本仏さまの願いを知ることから始まります。

逆境の乗り越え方
寿量品に云く、「毎(つね)に自(みずか)ら是(こ)の念を作(な)す、何を以ってか衆生(しゅじょう)をして、無上道(むじょうどう)に入り、速(すみ)やかに仏身(ぶっしん)を成就(じょうじゅ)することを得(え)せしめん」と。(中略)此等(これら)の現文(げんもん)は、釈迦如来の内証は皆此の経に尽(つく)したまう。

(守護国家論)

ご本仏さまの願いは、すべての衆生を仏にしたいというみ心です。それを叶えるために、日蓮大聖人はご生涯を通して、要法(ようぼう)の実践を自らの信心で体認し、実現してゆかれました。

「天晴(は)れぬれば地明(ちあき)らかなり。法華(ほっけ)を識(し)るものは世法(せほう)を得(う)べきか。一念三千を識らざる者には、仏大慈悲を起し、五字の内に此(こ)の珠(たま)を裏(つつ)み、末代幼稚(まつだいようち)の頸(くび)に懸(か)けしめたまう。」

(観心本尊抄)

全ての衆生を救いたいというご本仏さまの大慈大悲は宝珠であり、お題目の内に裏(つつ)まれています。ここで説かれている宝珠を頂くために、首に懸けたる「倶生神月守(ぐしょうじんつきまもり)」なのです。」

ご守護は変わらず注がれていても、信心の強さによって受け方が違います。お題目を唱え、倶生神月守を着帯すれば、時に揺らぎやすい心は支えられ、強盛な信心を持つことができます。その信心が私たちとご本仏さまとを繋ぎ、守護を受けるべき宝珠を持った人がここにいるのだと知らせてくれるのです。

その救いは、信仰を続けていくことで顕れてきます。お寺の盛運祈願会、信行会、その他のご法要に参詣(さんけい)し、読経口唱(どきょうくしょう)[お経を読み、お題目を唱える]を修行し、聞法歓喜(もんぽうかんぎ)[法を聞きよろこびを感じる]し、信心を深めて行くことが肝要です。

二、九識霊断法によりて救われる

私たちが生きているこの世界は、苦しみあり、悩みあり、試練が時に大きな壁となって立ちはだかる修行の場です。

そんな時は、「九識霊断法(くしきれいだんほう)」による救いを頂きましょう。

当山でも、老若男女を問わず、悩み苦しみを抱えた方が九識霊断法を受けられ、ご本仏さまのお力で先行きを見通し、苦しみの原因を紐解いていきます。長年信仰を続けられている方は、親・子・孫の三世代で日常生活のあらゆることにお導きを頂いています。

また、これまで信仰したことがなかった方や、どうしても救われたくて他の宗教や、色々なものを探し求めた末に、ようやくお題目に出会えたという方ともご縁を頂いています。そのような方は、本当に一から信仰を始められるのです。初めてお題目をお唱えされ、少しずつお経を唱えていきます。そして、大曼荼羅ご本尊をお授けし、過去帳や、ご位牌を整えていく。その一歩、一歩を共に噛みしめながら進んでいくのです。

九識霊断法によりて救われる

最初はご家族の中のひとりが、思うところあって始められるのですが、お題目の力はやはり強く、倶生神月守を着帯し、祈ることによって、ばらばらだったものが繋がりを取り戻していきます。お寺で癒されて帰れば、家族にも優しくできます。困難があっても一緒に乗り越えていくことができます。

まるで初心者がスポーツを覚えていくように、できることが増えていきます。信仰に対して「ここまでしかできない」と思っていたことが、「もっとお題目をお唱えしよう」「毎月行事に参加しよう」「お寺を護ろう」と意欲が湧いてきて、どんどん限界が突破されていくのです。それによって、一年後、二年後には振り返ればずいぶん変わったと思えるようになっています。そして、あらゆることに立ち向かっていく強さがでてきます。

その姿は、それまで信仰を続けてこられた聖徒の皆さんにも大きな感動をもたらすのです。

三、みんなを繋ぐ「かけ橋」

ひとりの”よろこび”は家庭に繋がり、やがて社会全体へと広がっていくのではないでしょうか。お題目の信仰によって場所や時間を越えてご縁を繋ぎたいという思いが、当山でも着実に形になっています。

大阪のみならず、他府県の方からもご連絡を頂くようになり、電話やメールを使ってご相談をお受けし、信仰の証である倶生神月守を郵送でお授けするようになりました。

信仰という共通の志があれば、共に成長し、みんなを繋ぐ「かけ橋」となることができます。そうしてご本仏さまのご恩に報いる”よろこび”は、何ものにも代えがたいのです。

四、”よろこび”を分かち合おう

~個人の成仏から総和の成仏へ~

あなたの”よろこび”もみんなの”よろこび”に繋げて下さい。地涌の菩薩として、悩んでいる人に自ら声を掛けてあげましょう。心配している気持ちを声に出し、「お寺で相談に乗ってくれるから一緒に行こうよ」と連れ出してあげることです。 そして、今、これを読んでいるあなたが、胸に秘めた苦しさを持っているなら、ご本仏さまのお救いの手は、もう差し伸べられています。あとは、勇気を出すのみ、どんなことでもかまいません、まずはお話ししてみましょう。いつでもあなたをお待ちしています。

イラスト 小川けんいち

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