日蓮聖人降誕800年
日蓮宗全国霊断師会連合会
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#009
逆境の乗り越え方

あなたは、既にその方法を知っているはずです。

日蓮宗霊断師会代表者会議議長
埼玉県川口市實相寺聖徒団団長
松永 慈弘

逆境の乗り越え方

あなたも、今までの人生の中で「逆境」に見舞われたことがあったかと思います。

逆境を乗り越えられない方もいますし、逆境を乗り越え幸せな晩年を迎える方もいらっしゃいます。それではどうすれば、そのような幸せな晩年をむかえることができるのでしょうか。

安岡正篤という歴代総理大臣の指南役を務めた方がおります。この方は終戦の際のいわゆる「玉音放送」作成にもかかわり、また「平成」の元号の考案者でもあります。この方がこのようなことを述べております。

「東西の聖賢たちの書物を渉猟(しょうりょう)すると、結局詰まるところは、『喜神を含む』ことにあるように思います。」

この喜神の神とは、礼拝の対象である神様という意味ではなく精神の神、つまり心の最も深い部分を指す言葉だそうです。そして続きます。「喜神を含むとは、どういう立場に立たされようと、それに心を乱されることなく、心の奥深い部分にいつも喜びの気持ちを抱いてことに当たれば、どんな運勢でも開けないものはなく、上昇気流に乗ったように開けていくという意味です。これこそは人生の極意である」と述べております。

岸信介総理大臣は六十年安保改定の時、反対派が国会議事堂に何十万人と押し寄せ、もう革命前夜と思われた騒然とした時代の中にあって、この「喜神を含む」という思いを胸に置き、日本を上昇気流に乗せるため六十年安保改定を成し遂げ、その後の高度経済成長への道のりをつけたのです。

また、京セラという会社を一代で興し、世界的な企業に育て上げ、現在のKDDを創業し、つい最近では、破綻間違いなしとされた日本航空の再建を成功させた稲盛和夫氏も、仏教の造詣が深く、この「喜神を含む」を胸に置き様々な逆境を乗り越えてきました。

「喜神を含む」と申しますと、何やら難しく思えてしまうかもしれませんが、要は「逆境を受け入れ、そして、切り替え、前向きに進んでいくこと」だと思っていただければよいと思います。

逆境に見舞われて、何かを失った時に人は大体二つのうちのどちらかの道を進みます。一つは、その逆境を恨み、以降の人生を「あの逆境さえなければ」と言いながら後悔し、悔恨の中に人生を送る人。もう一つは、失ったものは仕方がないと思い、「受け入れ」早い段階で「切り替えること」を行い、過去は振り返らず、岸首相や稲盛氏のように「前向きに進んで行く」人です。

何故、逆境が起こるのでしょうか。それは、他人のせいではありません。あなたがいけないのです。日蓮大聖人は、『開目鈔』の中で次のようにお示しになっております。

「心地観経に云く、過去の因を知らんと欲せば、その現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲せば、その現在の因を見よ。」「心地観経に云く、過去の因を知らんと欲せば、その現在の果を見よ。未来の果を知らんと欲せば、その現在の因を見よ。」

つまり、現在の結果はあなたが過去に積んだことの表れですよ、ということです。現在が幸せであれば、それは過去において善因を積んだからであり、逆境が訪れたのは、悪因を積んだからなのです。その逆境を招きよせたのは、あなたの責任なのです。だから受け入れればいいのです。そして、未来の幸福のために、善因を積むべく前向きに進んで行くことを、日蓮大聖人は、我々に勧めておられるのです。でも人は不安になります。本当にこのような生き方でいいのだろうか。しかし、大丈夫です。

逆境の乗り越え方

お釈迦様は、『妙法蓮華経譬喩品第三』の中で、

「其中衆生 悉是吾子 而今此処 多諸患難 唯我一人 能為救護」

と示されております。「大変な世の中かもしれないが、あなたは私の大切な大切な子供なのです。だから私があなたを守り救ってあげますよ」とお釈迦様は、あなたのことをしっかり救護するとお約束下さっているのです。全く不安に思うことはありません。

さらに、日蓮大聖人は『三大秘法禀承事』の中で、

「能居の教主は本有無作の三身なり。所化以て同体なり。」

とお示しになり、久遠寿量御本仏様とあなたとは、実は同体、つまり、既に救われている対象なのですよ、とお約束いただいております。

また、日蓮大聖人は、『祈祷経送状』の中で、こうも述べられております。

「信心に退転無く、身に詐親無く、一切法華経に其身を任せて金言のごとく修行せば、たしかに後生は申すに及ばず、今生も息災延命にして勝妙の大果報を得」

修行することにより、大果報が得られるのです。ではどのように、修行すればいいのでしょうか。『一生成佛鈔』に、

「深く信心を発して、日夜朝暮に又おこたらず磨くべし。何様にしてか磨くべき。只南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを、是をみがくとは云なり。」

とお示しです。つまり信心堅固にして、ただただお題目をお唱えすることなのです。そうすれば、大いなる救いが訪れるのです。

しかし、それでも、人間は不安に襲われるものです。でも、大丈夫です。あなたには、霊断師のお上人がいらっしゃいます。どのようなことでもご相談下さい。九識霊断法によって、不安を拭い去り、幸せへと導いて下さることでしょう。

イラスト 小川けんいち

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