みなさんは、寒い季節になると日蓮大聖人のお像が綿帽子をかぶっているのを見たことあるかしら?
これは、日蓮大聖人が遭われたご法難の一つ「小松原法難」に由来しているのよ。
文永元年(一二六四)十一月十一日、日蓮大聖人は数人のお供を従え、房州天津の領主工藤吉隆公をたずねる途中、小松原において法敵東條景信らに襲撃を受けました。この時、弟子の鏡忍坊と工藤公は討ち死にしてしまい、九死に一生を得た大聖人も額に傷を負われてしまったのです。
日蓮大聖人は、小湊の岩山に身を隠し傷の手当てをしていると、通りかかった老婆の「おいち」が、自身の着ていた綿入れの綿を日蓮大聖人にかぶせてさしあげ、寒さと傷を癒した、と伝えられています。
(これは伝承の一つです)
このことから、冬になると日蓮大聖人のお像に「綿帽子」をかぶせてさしあげる、という慣習が広まっていったのね。また「綿帽子」には、?赤色?に染めたものをかぶせる、というお寺もあって、これは日蓮大聖人の額の傷から出た血で綿が染まった、という話に基づくものなんですって。
日蓮大聖人がお寒くないよう、また傷が痛まないように、寒さの始まる季節である「小松原法難会」(或いはお会式)から翌年のお彼岸・花祭り(或いは四月二十八日の立教開宗会)頃まで日蓮大聖人の像に綿帽子をおかけします。
みなさんもお仏壇のお祖師様に給仕の誠をお尽くしいたしましょう。
イラスト 小川けんいち