塔婆という言葉は、サンスクリット語の「ストゥーパ」という言葉を音訳した「卒塔婆」(そとうば)を略したものよ。
「ストゥーパ」っていうのは、二千五百年の昔、お釈迦様がお亡くなりになった時に、お骨を納めたり、供養のために建てた塔の事で、「ストゥーパ」という塔は進化しながら、中国などの国を経て日本にも伝わって五重の塔にまでなっているのよ。
だけど、供養するたびに塔を作るのは無理なので、塔婆というものが出来たんですって。
だから塔婆の上の方は五重の塔のような形をしてるのね。日蓮大聖人様もお手紙で、
「幼くして亡くなった娘さんの十三年の供養に、南無妙法蓮華経のお塔婆を建てるということは、北風が吹けば南の海にいる魚は大海の苦しみから救われて、東風が触れば西の山の鳥や鹿は畜生道から逃れられ、仏さまに救われます。亡きご両親もご先祖さまもこの塔婆の功徳によって霊山浄土で幸せになります。そして、その塔婆を建てられた人達は、幸せに暮らせて、亡くなっても霊山浄土でお父さんやお母さんたちと一緒に住むことが出来るという、計りしれない功徳を頂くことができます。」
と言われてるの。
亡くなった人の供養のためだけでなくて、私たちの幸せのためにもなるのね。
お上人(しょうにん)が言ってたわ、塔婆は法事やお盆とかの法要の時に建てるのはもちろんだけど、いつでも建てていいんですって。それは私たちの幸せのためだったんですね。
イラスト 小川けんいち